エコビレッジとは?
エコビレッジとは、現代の経済活動を中心とした社会から離れて、自然環境と人に負荷をかけずに持続できるライフスタイルを集団で実践、共有するコミュニティで、そのほとんどは郊外に存在しています。
現在エコビレッジは世界各地にあって、日本でも、特に 2011 年の東日本大震災の経験から注目を強め、いくつか存在しているようです。
ハコネエコビレッジの特徴
定住者ゼロのビレッジ?
今回紹介する「ハコネエコビレッジ」はちょっと変わっていて、ここには定住している人は基本的にはいません。平日は都市部でビジネスや会社員などを普通にして暮らして週末だけ来て楽しむ、“半都市、半ビレッジ” というスタイルです。
それは、ハコネエコビレッジの発起人である村長の石井真さん自身が求めたカタチでした。それがそのまま、今のところ定着しているわけですね。
キャンピングカーの Web サイトで、なぜエコビレッジを? それは私自身が話を聞いて非常に興味をもったから、というのが本音ですが、キャンピングカーが好きな人なら、私と同じように惹かれるところがあるんじゃないか、とも思ったからです。エコビレッジが震災後に注目を強めた、というところもキャンピングカーと共通しているように思います。
それに近々タイニーハウスの作り方を学べるプロジェクトも予定しているとのことなので、これは是非とも紹介したいと思いました。タイニーハウス・プロジェクトの詳細は、この記事下部の村長インタビューで語られています。
“リアル DASH 村” !?
ここでは毎週のように、何かしらイベントが開催されています。例えばオフグリッドに関することや、1万年以上持続した縄文の文化にまつわることなど。それぞれ精通した講師を招いてセミナーやワークショップなどが開かれたりしています。
それに、アースオーブンと呼ばれるピザ窯や、水洗式でもないのに無臭でハエもこない縄文式トイレなどを作ったり、試験的な有機農法などのプロジェクトも展開してきました。これらは週末にここに集まって、数ヶ月かけて長期的に進行します。
こういった取り組みの内容は、マスメディアにはのらない、にわかには信じがたいものもあったりします。でも直感的にピンとくる人には、かなり興味深いものではないでしょうか。
村長の石井真さんに、ハコネエコビレッジを案内してもらいました。
初めての人が、もっとも訪れやすいエコビレッジかも。
ハコネエコビレッジは定住型ではなく通い型で、いつも同じメンバーだけが来ているわけではなく、Facebook やホームページでイベントの告知をして、一般からも参加者を募っています。要するに、興味をもった人が気軽に参加して体験できるわけです。これが初めての人でもなじみやすい雰囲気をつくっているように感じました。
風景
言葉では伝えにくいハコネエコビレッジの雰囲気を、写真でお伝えします。
母屋は襖で仕切ることができる二部屋と縁側、台所のある土間からなる古民家。
寝泊まりはこの母屋の他に、離でもできる。キャンプが好きなら広場でテントを張ることも可能。
室内系のワークショップなどもここで行われる。写真は、ささやくような音色を奏でる手作りの弦楽器を囲んで談笑している様子。
楽器を持ってきた人たちがなんとなく演奏をはじめて、そのうち合奏になって…。
そうなると、踊り出す人たちがいたりして。
子ども達は、誰かがなんとなくみていて…。
都会にいると、なかなかやらせてあげられないこんなことも。
母屋の中庭にあるアースオーブン(ピザ窯)。
ご飯どきには、明確に役割分担を決めたわけでもなさそうだけど、やりたい人が準備をしているようで…。
この日は雨だったため、広場で予定していたライブが急きょ中庭になりました。深夜だから静かに、なんて細かいことを言う人はいないみたいです。
翌朝もライブがありました。
演奏や歌に込められた思いを受け止めて、静かに味わっている女性たち。
最後はみんなでカオスな即興の合奏になりました。
母屋から広場へ続く道。
道の途中にある納屋に立てかけられたまま、金属だけが残った自転車。
広場から母屋へ向かう女性。すれ違いざまに感じる心地いい優しさ。
広場から望む向かいの山。
朝、広場で谷側を向いて一人静かに瞑想する女性。
広場にある、竹と藁と動物の骨で作られたシンボリックな飾り。
広場の隅にある哀愁漂う傾いた小屋。
なぜか身近でありがたみを感じる竹林。奥の山にかかった霧が山の息吹に思える。
ここで できること。
土地の持ち主のお孫さんで発起人の一人・若林光成さんに、ハコネエコビレッジでできること、などを聞きました。
ディープな立ち話
取材中に村長の石井さんとフと話し始めたら、深い話に発展したのでカメラをまわすと…。エコビレッジ発足を開眼させた、右脳と左脳のバランスを整える〇〇とは?
Music & Dance Live
個性的なミュージシャンやダンサーのライブも。
ハコネエコビレッジには、テレビなどではなかなか見ることができないような個性的なミュージシャンやダンサーもよく訪れています。
彼らは気さくにライブを披露してくれていました。普段は広場で行われるそうですが、取材時は雨天だったため、急きょ中庭で行うことに。でもこれが、かなり距離感が近くて演奏する側と聴く側の境がないような、一体感のある世界観の演出になっていました。
女性二人と男性一人の三人組ユニット「縄文の宴」。曲は「わのうた」。どこか懐かしさを感じるこの曲のメロディに、今回撮影したビレッジの様子を乗せた映像にしてみました。
さまざまな民族楽器やエフェクターなどを一人で駆使する「Mojo World A.K.A. Spiral Rainbow」の演奏と、池田美鳥さんによるファイヤーダンスのコラボ。
村長インタビュー
村長の石井真さんが語るハコネエコビレッジ。そして、予定しているタイニーハウス・プロジェクトとは?
エコビレッジ訪問者とキャンピングカーユーザーの共通点。
今回ハコネエコビレッジに訪れていた人たちには共通点があったと思います。それは、生活を単なるルーティーンで消費していない、ということ。人生を積極的に楽しもうとしている人たちだなぁ、と感じました。キャンピングカーユーザーも同じだと思います。
今後予定しているというタイニーハウスのプロジェクトも、取材して紹介したいと思います。現在、説明会が予定されてるので、このページ下部にリンクを載せておきます。
キャンパーで行けるビレッジがあったら…
さて、ハコネエコビレッジ、かなり魅力的でした。が、クルマで入っていけない、という点だけが残念…。取材では機材などもあるのでクルマで行きましたが、ビレッジ最寄りの塔ノ沢駅から5駅ほど離れた小田原駅付近のコインパーキングに駐車して、そこからは箱根登山鉄道を利用しました。それにしても、キャンピングカーで集まれるエコビレッジがあったら、おもしろそうだと思ったのは私だけでしょうか。
とはいえ、新しいライフスタイルに気づきをもたらしてくれると思いますので、興味をもったら気軽に訪れてみるといいと思います。村長や村人たちも歓迎してくれるはずです。地域ぐるみで生活を共有していた、古き良き日本の暮らしを彷彿させてくれます。それに、こういった深いことがらで出逢う人との交流は、かけがえのない繋がりを産むことはよくありますよね。
Links
キャンパーズネットのテーマは、キャンピングカーを軸とした “ライフスタイル” です。この「Express」のカテゴリーでは、直接的にキャンピングカーとは関わりなくても、オフグリッドなど次世代のライフスタイルに関する内容も、今後も積極的に取り上げていこうと思います。もちろんキャンピングカーユーザーやビルダーへのインタビューなど直接的なコンテンツがメインになると思います。
最後に、この記事から掘り下げてもっと知りたくなるようなものへのリンクを記します。
ハコネエコビレッジ公式 Web サイト
都心から電車で約2時間の立地に、2015 年にスタートした通い型のユニークなエコビレッジ。公式サイトでは村人の紹介やイベントの告知も。ハコネエコビレッジへ訪れるには事前に予約が必要で、運営者とのコンタクトは Web サイトからも可能ですが、Facebook ページからの方がいつも見ているので反応しやすい、とのこと。料金などはイベント毎に異なるようですが、営利目的ではないので良心的な価格に設定されています。内容によっては基本無料で、ドネーション式になっていたりもします。エコビレッジ未体験者が、もっとも訪れやすいビギナーフレンドリーなエコビレッジかもしれません。
Website:ハコネエコビレッジ公式 Web サイト
Facebook:ハコネエコビレッジ公式 Facebook ページ
ハコネエコビレッジのタイニーハウス・プロジェクト
数年前から北米を中心に静かなムーヴメントになっているタイニーハウスは、キャンパーズネットでも簡単にですが記事にしました。トレーラーのシャーシの上に木造の小さな家を乗せたオフグリッドな住宅で、それ自体が一つのシンプルライフのカテゴリーになっているような存在といえると思います。本場ではタイニーハウスをメインの住居として利用されています。このタイニーハウスの作り方を、ハコネエコビレッジで学べるプロジェクトが予定されています。2018 年2月ころからのプロジェクトですが、現在(2017年9月)説明会への参加が募られています。プロジェクトには誰でも参加できますが、定員の上限はわずか 12 名なので、参加希望の場合は早めに申し込んだ方がいいかもしれません。
Facebook:タイニーハウススクール第1期説明会 10月8日
Facebook:タイニーハウススクール第1期説明会 11月4日
Facebook:タイニーハウススクール第1期説明会 12月2日
楽読 神楽坂スクール
「ディープな立ち話」で出てきた、これに出会って人生を変えた人が続出しているという「楽読」。村長の石井真さんが運営している神楽坂スクールです。石井さん自身も楽読に出会ったことがきっかけで、ハコネエコビレッジのスタートに繋がったといいます。
Website:楽読 神楽坂(飯田橋)スクール
Facebook:楽読 神楽坂(飯田橋)スクール
縄文の宴
取材時のライブで「わのうた」などを披露してくれた、結火里(ヴォーカル他)、けいすけ(ディジュリドゥ他)、Minako(アート&ダンス他)からなる三人組ユニット。「私たちはひとつである」事を音楽などのアートで表現。今回の演奏を聴いて、思わずウルっときてしまったのは私だけではないはず。出演依頼にも応じてくれるそうです。
Facebook:縄文の宴
Mojo World A.K.A. Spiral Rainbow
池田美鳥さんのファイヤーダンスとともに幻想的な演奏を披露してくれた、横山幸雄さんの活動名。ギターや民族楽器、それに自作した楽器などをエフェクターを使って音を重ねて演奏する姿に圧倒されました。近々次のレコーディングを予定しているようで、動画で掲載した「korean groove」も収録され、ダウンロード配信もされるかもしれない。
Facebook:Spiral Rainbow – Mojo World
池田美鳥さん
即興舞踊家、響きうた(ヴォイスアーティスト)、ベリーダンス講師、モデル、ご神託アーティスト。「Mojo World A.K.A. Spiral Rainbow」とファイヤーダンスでコラボしていたのが池田さん。いたって自然体な雰囲気の人柄で、今回のハコネエコビレッジの2日間で見ていて、音楽が鳴ると自然に身体が反応してしまうような印象の人でした。
Facebook:池田美鳥 (Facebook にログインした状態で開けます)
ブログ:LOTUS☆PROJECT
出演情報:7月からの出演情報
Spesial Thanks
今回の取材の実現にあたって、二人の人物が貢献してくれました。前回の記事のラリーレーサー・三橋淳さんの際と同様のお二人ですが、感謝の意を込めて改めて記します。村長の石井真さんに繋いでくれた友國麻衣子さん、Julian Israel さんに感謝しています。
友國麻衣子さん
コミュニケーションデザイナー、セールストレーナー、ラジオパーソナリティ、司会やイベント MC など、多彩に活動するフリーランサー。ハコネエコビレッジの村長・石井真さんと直接的に繋げてくれた。
Website: Mico’s Site
Julian Israel さん
日英ハーフのロンドン育ち。日本語、英語ともネイティブレベルの才能と常識にとらわれない思考で、大企業をもクライアントに個人で派遣型の英会話講習などを展開する「Business English Tokyo」を運営。オリジナルのフルオーダースーツ・ブランド「Legendary」も展開。もともと取材者との友人で、石井さんの友人である友國さんとコンタクトしてくれた。
Website: Business English Tokyo