ラリーレーサー・三橋淳さんの、仕事と遊びの “ベース” キャンパー・トレーラー。

取材・撮影・文:高橋明彦 

ラリーレーサー、走行デモンストレーター、映像クリエイターなど多様な活動を展開している、三橋淳さん

ラリーレースの最高峰「ダカールラリー」の市販車クラスで、5度の優勝を果たした日本を代表するラリーレーサーの一人、三橋淳さん。現在は、「レクサス」やオーストリアのオフロードバイクメーカー「KTM」のイベントなどでのデモ走行や、アウトドア系の映像制作などを主な生業としている。

それと同時に、クルマやバイクはもちろん、自転車やカヌー、スノーボードなど、一年中アウトドアスポーツを趣味として、または仕事として、日本全国を駆けまわっている。

その旅に使用しているのが、今回紹介するトレーラー。もともとオフロード走行の練習用4輪車のトランスポーターとして使っていたものを、ワンオフでコンバージョンした特別仕様。これが遊びや仕事で向かう各地での、“ベースキャンプ” となるわけだ。

さて、バイクなども積めるキャンパートレーラーなら、アメリカ製などで製品化されているわけだが、なぜわざわざワンオフしたのか? そのあたりの詳しい話は、インタビュー動画でご覧いただこう。

インタビュー

インテリア

くつろげる空間を追求して、インテリアは三橋さんのご友人でもある一般住宅の大工さんが施工。キャンピングカー用のパーツは窓くらいで、他はほとんどが一般住宅用を使用。ほぼ全てがワンオフされており、ソファや棚などは恵比寿の「PACIFIC FURNITURE SERVICE」が担当。トイレ&シャワー室とワードローブは前方にまとめて配置されていて、空間を遮るものを極力隅へレイアウト。後部のガレージ以外を見る限りでは、これが車内とは思えない仕上がりになっている。

豪雪地でも使用するため、天井に雪が積もっても耐えられるように室内にフレームを追加。柱は木材でスタイリッシュに隠されている。このインテリアのデザイン的なアクセントにも貢献。また、天井にはルーフエアコンを設置。電源は、積載している発電機か外部取り込み式を使用して駆動する。

車体右側に 49 インチのテレビを壁掛け。BOSE 製の 5.1ch サウンドシステムを併用。インターネット経由で amazon の Prime Video などを視聴できる。

手前のテーブルはフリップアップ式で、使わないときは下げて格納できる。ここで食事をしたり PC で作業している。

冷蔵庫はキャンパー用で、開けた際に冷気が逃げにくく効率の良い上蓋式。使わないときはステンレスのカバーで覆うため、冷蔵庫の存在にすら気づかないようにデザインされている。

車体左側にはヨーロピアンで主流のアクリル二重窓が二つ。ソファ部の窓には住居用の木製ブラインドが取り付けられていて、日中の直射日光を遮りつつ、プライバシーガラスのように外景のトーンを落とすことなく眺められる。自宅にいるときのような、よりリラックスできる演出がなされている。

キッチンはシンクのみが露出していて、生活感のないシックな装い。こちらのブラインドは、キッチンのステンレス材とコーディネートされた金属製。

この車両の場合、キャンパーと比較するのはふさわしくないかもしれないが、アメリカン・ラグジュアリーの濃い装飾とも、エレガントなヨーロピアンとも違う雰囲気が漂っている。

シンクは隠さず、すぐに使えるようになっている。フォーセットは電動ポンプで容易に水が出せる機能性の高いキャンパー用を採用。深さのあるステンレス製シンクをセット。

普段は冷蔵庫と同様にステンレスで覆われているガスコンロ。野外用のコールマン製で、2バーナー式を利用。その下には、電子レンジなどが格納されている。

窓には遮光スクリーンと防虫ネットのコンビネーションスクリーンも備わっている。

車体前方に配置されているトイレ&シャワー室。カセット式のトイレ以外、キャンパー用は見あたらない。換気扇や鏡付きのメディスンキャビネットなど、DIY キャンパー制作のヒントになりそうなディテールもうかがえる。

シャワー用のフォーセットは、引き伸ばして使える一般住宅用のもの。

シャワー横の、エントランスから入ってすぐ右の扉の中ににワードローブがある。シャワー室と同じ奥行きがあって、かなりの大容量が確保されている。撮影用の機材なども収納されている様子。

エントランスにも引き出して使える防虫ネットを設置。これも一般住宅用。車体右側には窓がないわけだが、左側の窓とここを開け放てば風通しは良好。

シャワー室とワードローブのドアヒンジやドアノブ、照明スイッチも一般住宅用。メイン電源のブレーカーも住宅用で、30A が確保されている。

幅 180cm のソファ下も収納になっていて、ここにサブウーファーや電源のコントローラーなどを格納。その他、エアベッドなどのアイテムも収納されている。

車両最後部をガレージスペースとして利用。自転車やヘルメットなどの防具、冬にはスノーボードなどほとんどの遊び道具がここに収まる。車体幅が 250cm あるので、リッタークラスの大型バイクも横向きに載せられてしまう。旅先でバイクなどの大物を車外に出せば、ドライブシミュレーターで遊ぶためのスペースができる。また、ソファをベッドに展開することもできるが、載せてあるエアベッドをここに敷いて寝ることもできる。

エクステリア

右側面には窓がないので一見するとキャンパーには見えない。比較物が写っていない写真で見ると、ヘッド車のタンドラ単体でも約 5.8m あるためそれほど大きさを感じないが、実際はかなりのビッグサイズ。

外壁は「38c(ミツハシ)」をモチーフに、デザイナーによってグラフィックが与えられた。イベントの仕事などでも使用するこのトレーラーの存在は、三橋さんのライフスタイル自体が一つのブランドであるかのようにパッケージングされている印象を受ける。

ルーフには三橋さんのスポンサーでもある「ROCKY」の特注キャリアや、ソーラーパネルなどが取り付けられている。カヌーやサップを持っていく際はこのキャリアに載せる。

車体背面は全面が開閉して、そのまま積載車用のスロープとしても機能する作り。三橋さんは固定式のジャッキをかませて、ウッドデッキ的な使い方をしていた。閉じた状態でも実際に広い室内だが、こうしてさらに開放感のあるリビングスペースになる。

ご覧のように 1,200cc の、しかも大柄なオフロードのビッグバイクが横にすっぽりと収まる。背面の壁がそのまま積み下ろし時のスロープにもなる。この状態が、三橋さんの「夏仕様」。

外壁のグラフィックには三橋さんのスポンサーのロゴもあり、これらも一般的なキャンパーとはちがうプロのレーサー然とした印象を与える。ちなみにこのトレーラーは、「Tow」「Toy」「Travel」の共通する頭文字をとって「tbox」と命名されている。

外部電源や水道の取り込み口、カセットトイレ用の窓は一箇所に集中しているので、キャンプサイトでも利便性が高そう。

トレーラーのホイールをアルミニウム製に換装。ボディのグラフィックと相まって、オフロードが似合うスポーティなイメージに。

ヘッド車は、トヨタの北米輸出車「タンドラ」。アメリカではキャンピングトレーラーを牽引する際にもこのクラスのピックアップトラックはよく使われるため、ワイドなトレーラー幅に合わせてサイドミラーを引き出せるようになっている。

リンク

三橋淳・公式 Web サイト「Jun38c.com」

三橋さんの近況などもチェックできる、三橋淳・公式サイト。ダカールラリーをはじめとする映像も掲載。「DIARY」では、タンドラで雪上ドリフトをレクチャーしている「役に立たないドリフト講座」も(笑)。

URL : http://www.jun38c.com

また、三橋さんの YouTube チャンネルには「役に立たないドライブテクニック講座 トレーラー雪道編」と題した、シャレの効いた動画などもアップされていますが、ここでは今回紹介したトレーラー「tbox」の動画を貼り付けておきます。

PACIFIC FURNITURE SERVICE

三橋さんのトレーラーの家具制作を担当した、渋谷区恵比寿の「PACIFIC FURNITURE SERVICE」。1989年に発足した、横浜市の自社工場で製品を生産する人気のインテリアブランド。このトレーラーの企画を聞いて、「おもしろい」と制作に協力してくれたという。

URL : http://pfservice.co.jp

Spesial Thanks

今回の取材の実現にあたって、二人の人物が貢献してくれました。三橋さんのような人生を思いっきり楽しんでいる大人を、取材記事の最初にできて、皆さんに発信できることを光栄に思います。こういう人が、これからの新しい時代を引っぱっていってくれると、本気で思っています。三橋さんに繋いでくれた友國麻衣子さん、Julian Israel さんに感謝しています。

友國麻衣子

コミュニケーションデザイナー、セールストレーナー、ラジオパーソナリティ、司会やイベント MC など、多彩に活動するフリーランサー。三橋さんとは、仕事での繋がりもあるが友人でもあり、今回、取材者と直接的に繋げてくれた。

Web site: Mico’s Site

Julian Israel

日英ハーフのロンドン育ち。日本語、英語ともネイティブレベルの才能と常識にとらわれない思考で、大企業をもクライアントに個人で派遣型の英会話講習などを展開する「Business English Tokyo」を運営。もともと取材者との友人で、三橋さんの友人である友國さんとコンタクトしてくれた。

Web site: Business English Tokyo

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